LEGOレゴ10151ホットロッドのなぞ銀色の部品
10151セットで一番気になるもの、それは銀色の部品ではないでしょうか。
鏡面の表面仕上げに用いる工法の1つであるクロムメッキから、
クロムシルバーと言われます。
光沢のある輝く部品は、他のセットでも時々見かけます。
しかし、この部品のように、周りを映し出す鏡面仕上げはあまり見かけません。
このセットには、
1)ディッシュ(皿状)部品、2)円柱部品、3)90度エルボ(90度曲がり状)部品の3種類のクロムシルバー部品があります。
今回は、この部品をレビューします。
目次
ディッシュ部品
英語名称は、Dish 2 x 2 x 2/3 Light Reflectorです。
アイテム番号は71128です。
製造されたのは、1993年~2005年、
用いられたのは36セットです。
鏡面仕上げになっているので、写真には撮影に用いたカメラが映っています。
玩具目的の部品なので、一般の鏡ほどの精度はありませんが、ちょっと驚きですね。
着色の方法
一般的なレゴ部品は、最初に部品原材料の樹脂に着色剤を混ぜ、色を整え
その後に、原材料を成型機に入れて形をつくり完成させます。
完成した部品を切断して内部を観察すると、表面と同じ色をしています。
ではこのクロムシルバー部品はどうでしょうか。
先に成型機で形をつくります。
その後に、部品の表面だけを薬品等の化学処理で、薄い着色被膜を施していると思われます。
この場合、部品を切断して内部を観察すると、表面と異なる色をしています。
今回はその実証をしませんが、機会があれば試してみたいと思います。
部品への刻印
一般的なレゴ部品では、LEGOマークとデザイン番号が刻印されています。
部品を観察しましたが、LEGOマークとデザイン番号の両方ともみつけることはできませんでした。
但し、どの部品にも共通して跡のある形状を見つけました。
記号なのか、製造上の傷なのかわかりませんが。
表面の表面を化学処理する場合、小さな形状は無くなったり、ぼやけたりしてしまいます。
同じデザインの違う色の部品で、どうなっているのか、確認するとわかるかもしれません。
成型の方法
成型の工程そのものは、他の一般的なレゴ部品と同じと思われます。
外周円部の1カ所に凸部が見られます。
ここは射出成型の金型へ原材料を注入するクチ部(ゲートと呼びます)で、
製品仕上げ時に切断場所となり、部品と不要なクズ部(ランナーと呼びます)に分かれます。
クチ部と接触して円周を描く段差があります。
ここは、金型の合い面(可動型と固定型のパーティングラインと呼びます)です。
押出ピンの跡
内周円の4つの切り欠き平面の一つに丸い跡が見られます。
これは射出成形時の押し出しピンの跡と思われます。
上述の金型合い面と押し出しピンの跡から考察すると、
この部品の金型は、可動型と固定型の2部品から構成され、
凸側が可動型になり、射出成型工程の最終時には、
可動型にくっついた完成部品を、押出ピンで金型から取り出していると思われます。
他のレゴ部品と組み付け
中央の丸い穴は凹凸どちら側からも接続が可能です。
また、四つの切り欠き部はポッチと組み合わせることが可能です。
平らなプレートにも組み付けることができるのは、よく考えています。
円柱状の部品
英語名称は、Round 1 x 1 x 1 2/3です。
アイテム番号は71076です。
用いられたのは17セットです。
外観の鏡面仕上げはディッシュ部品と同じです。
部品への刻印も、発見できませんでした。
成型の方法
外周円3カ所にゲート跡がみられます。
ディッシュ部品のような筋は見られないので、
端面角部がパーティングラインと思われます。
端面部が若干角張っていることも(鋭利であることも)、その理由かと思われます。
押し出しピンの跡も見えないことから
成型完了し、金型が開き、可動側に部品がくっついていき、
その後に中央の中空部を作り出すピンが後退することで部品から抜け、
金型から部品が外れ、取り出していると思われるます。
今回は内面についての調査ができませんでした。
内面を見ることができると、また違った発見がありそうです。
調査できる機器が入手出来たら、またレポートしたいと思います。
他のレゴ部品と組み付け
中央の穴部に他の部品のポッチ(凸部)が組み付くようになります。
組み付く穴の形状をよく観察すると、綺麗な丸形状ではありませんね。
丸い円輪郭に四つの凸部が見られるます。
凸と言っても明確な凸でなく、弦が張られたような線に見えます。
この形状の工夫により
1)はめやすく、2)適当の保持力があり、3)適当な力で分解できる
を生み出しているようです。
90度エルボの部品
英語名称は、Round 1 x 1 90 Degree Elbowです。
アイテム番号は71075です。
用いられたのは12セットです。
この部品も、外観の鏡面仕上げはディッシュ部品と同じで、
部品への刻印も、発見できませんでした。
成型の方法
真っ直ぐな円筒形の部品(上述の円柱状の部品)を後から曲げて作るのでなくて、
最初から曲がった形状の金型をつかって成型します。
金型を製品から取り出す時にはすでに曲がった部品となっています。
外側にゲートの跡が見られます。
また、それに沿うように金型の割線も見えます。
内側にもなんとなく金型の割線のような筋が見えます。
これらのことから、金型のパーティングラインは円筒の長さ方向にあります。
上述の円柱状の部品とは異なる配置となります。
端面の内側円部分は丸い輪郭に四つの突起が見えます。
円柱状の部品と同じアイデアを採用しているようです。
穴はしっかり貫通しています。
バリ残りも。外から観察する限りは見られません。
これらのことから、
中空部分は金型を使って成型し
構成は、90度の1つの金型部品、または、45度の2つの金型部品を対向使用と思われます。
円柱状部品の金型と比べ、複雑な構成、手の込んだ動きとなるので、
金型の費用、メンテナンス工数、生産時間は、相応にかかってきます。
まとめ
・10151セットの銀色部品は、クロムシルバーの鏡面仕上げで、レアな部品である。
・クロムシルバー部品は、表面処理をして作っている。
・クロムシルバー部品は、刻印が確認できない。
クロムシルバー部品は、奥が深いので、機会があれば、またレポートします。